正社員への道は人を選ぶ
ワーク・ライフ・バランスの取れた働き方として注目を集めているのが「短時間正社員制度」ですが、「どんな制度なのか分からない…」「この制度を利用したらどうなるの…」といった声も多く聞かれています。短時間正社員制度とはどんな制度なのか、ここではデメリットも交えながら詳しく説明していきます。
「短時間正社員制度」ってどんな制度?
短時間正社員制度とは、正社員として勤務しているが、フルタイムで働いている正社員よりも短い勤務時間で働いている正社員のことをいいます。短時間正社員制度については厚生労働省でも「無期労働契約を締結している」「時間あたりの基本給および賞与、退職金などの算定方法等が同種のフルタイム正社員と同等」ときちんと定義されています。
短時間正社員制度を導入している企業の中で、実際にこの制度を利用している正社員は全体の15%ほど、そのうち女性の利用者は41.4%ですが、これは産休や育休から復帰後、フルタイムではなく短時間勤務で働くことを選ぶ女性がいかに多いかを示しています。また、短時間正社員制度は雇用される時点で短時間勤務を結ぶため、企業によっては定年まで短時間勤務が可能です。
このように、家庭と仕事を両立しながらもしっかりと働きたい女性にとってメリットが多いように思われる短時間正社員制度ですが、実はデメリットもあります。
同僚や上司の理解が得られないことも
繁忙期や納期がある職種の場合、周りが忙しく働いている中で、時間だからといって一人だけ早く帰ることに引け目を感じてしまったり、子どもの体調が悪いから早退したくても周りの様子を見てなかなか言い出せなかったり、ということがあるかと思います。勤務時間は雇用契約であらかじめ決められていることですし、子どもの体調不良は仕方がないことなので引け目を感じる必要はありませんが、一緒に働いている上司や同僚からは「残業できないならこの仕事は任せられない」「短時間勤務なのに有給や退職金があるの?」という目線で見られることもあるため、そういったように感じてしまうのかもしれません。
ですが、これは短時間制社員制度に対する認知度が低いだけのことです。もっと多くの人に理解してもらえれば引け目を感じなくても済むようになりますが、まだ短時間正社員制度を利用している人が15%しかいない現状では周りの理解を得るのは難しいかもしれません。
フルタイム正社員よりも努力が必要
短時間勤務になるため、どうしても時間に追われがちになってしまいます。たとえば、8時間かかる仕事の場合、フルタイム正社員であれば1日で終わらせることができますが。短時間正社員だと2日かかってしまいます。求められる生産性は一緒なのに仕事にかける時間が違うだけで仕事が遅いように見られてしまうため、1日の遅れを取り戻そうと必死になって仕事をしたり、やり方自体を工夫したりと、より一層の努力が必要になります。
家族の協力が必要不可欠
「短時間勤務で時間的に余裕があるだろうから家事はやって」と言われることがあるかもしれませんが、短時間勤務だからといってすべての家事を引き受けていては自分自身がつらくなってしまうだけです。なぜなら、劇的に勤務時間が増えるわけではなく単純にやらなければならないタスクが増えるだけだからです。正社員としての責務を全うするためにもある程度の余裕は必要です。家事や育児は家族で話し合って分担し、協力し合うことが大切です。